ブルゴーニュのサラブレッドが醸す英国皇太子ご用達のクレマン
トゥール市から東へ約40km、典雅な古城が点在するトゥーレーヌ地区の小さな村にドメーヌはあり、シャトー・ド・ラ・プレスルという名の優雅な城でもある。1885年にジャン・バティスト・ロベール氏が畑を買ったことにより、ドメーヌの歴史は始まる。ラベルに描かれているシャトーは当時のもので、ワイナリーに隣接しており、現在も事務所兼住居として使用されている。
元詰めは1970年、5代目の当主ジャン・マリー・ペネ氏が開始した。現在は三女のアンヌ・ソフィー女氏が跡を継ぎ、夫フレデリック・ムルジェイ氏と共にドメーヌを運営している。アンヌ・ソフィーとフレデリックはボーヌのワイン農業学校の同級生である。6代目当主のフレデリック氏は、ボーヌでネゴシアン「シャンピィ」とクルティエを経営するブルゴーニュ・ワインの名門出身。1998年よりジャン・マリー・ぺネ氏の跡を継ぐためにロワールに移ってきた。夫妻はまた、積極的に海外に出て、オーストラリア・ヤラヴァレーの注目ワイナリー、コールドストリーム・ヒルズや、ボジョレー、南アフリカの生産者の元でも研修を積んでいる。「故郷を離れて婿に入るのに心配はあったけれど、2人で海外で暮らしたり、学生時代も収穫のたびに彼女の実家で研修をして家族とうまくやっていけるか充分熟慮したよ。今は全く後悔していない。」とフレデリック氏は大きな体をほころばせて笑う。
所有する30ヘクタールの畑は、表土は粘土を含む砂地だが15センチほど下には粘土石灰質土壌が広がる。この土地の特産であるホワイト・アスパラガスが育つ土壌と同じという。