かつてモンラッシェより高い価格で取引された偉大なテロワール「ロッシュ・オー・モワンヌ」 フランスのほぼすべての三ツ星がオンリストする、グランクリュ格の偉大なる白眉 <ドメーヌ・オー・モワンヌ>
ロワール最上の白ワインの1つ サヴニエールは、アンジュ=ソミュール地域の中心都市アンジェの西、ロワール川右岸沿いに位置する小地区である。
サヴニエールには多くのクリュがあるが、殆どが小さな山の頂上の平地部にあり、川に向かう急斜面にある2つのクリュ“ロッシュ・オー・モワンヌ”と“クーレ・ド・セラン”だけが特級格とされる。
ドメーヌは、ロッシュフォール・シュール・ロワールの町を見下ろす小高い丘の斜面にある。オー・モワンヌ(修道僧)の名の通り、ドメーヌの基礎はサン・ニコラ・ダンジェの修道僧によって築かれ、1063年に最初に葡萄が植えられた。その後フランス革命によって、畑と建物は民間の手に渡り、長年Benzのオーナー家が所有した。当主のラロッシュ家は、1967年からサヴニエール村でワイン造りを始め、1981年にこの“ロッシュ・オー・モワンヌ”最高の区画を所有するドメーヌを買い取った。
現在ドメーヌを運営するのは、2代目女性当主テッサ・ラロッシュ。母の代に引継ぎ、女性当主がこの偉大な歴史をもつドメーヌを切り盛りする。
所有畑は、“ロッシュ・オー・モワンヌ”のみで、33haのアペラシオンのうち、最上とされる斜面の中腹及び上部に12haを所有する。土壌は花崗岩のシストと砂岩が混じるもの。シストはミネラル分を多く含み、ワインに力強い芯を与える一方、日中の熱を吸収し、夜間に輻射熱を放出して畑を暖める。機械による収穫が主流であるサヴニエールにおいて、オー・モワンヌでは100%手摘みを行い、シュナン・ブランは同じ区画でも成熟度に差が出るので、熟した葡萄から順に通常5回に分けて収穫を行う。
醸造においては、イノックス加工のコンクリートタンクで発酵を行い、マロラクティック発酵は行わない。また、偉大なテロワールの毅然とした雄大なストラクチャーを損なぬために、新樽発酵は行わない。
シュナン・ブランの他に少量のカベルネ・フランも手がけ、アンジュ・ヴィラージュとして瓶詰めしている。
その真価を発揮するのに熟成を要するかつてモンラッシェを凌駕した偉大なるロッシュ・オー・モワンヌに加え、このドメーヌで特筆すべきは、NVのVDF(ヴァン・ド・フランス)である“ヴェルソー・デ・フェ”。100%ロッシュ・オー・モワンヌの区画で造られる若木を惜しみなくVDFへ格落ちさせ、若飲みに向く醸造を行っているリーズナブル・キュヴェで、パリの自然派ワインバーやビストロで人気殺到。現地でも割当制となっている由緒正しきプレミアム・カジュアルである。