豊饒なアンボネイ村の結実と、アッサンブラージュの妙技”シャンパーニュの精華、エリック・ロデズ
アイ村、ブジー村とならんで類稀なるピノ・ノワールを産み出すことで知られるアンボネイ村。ドメーヌは村の中心から教会を抜けて県道を越えた離れにある。目印は国道沿いに看板が立っているだけ。知的で情熱的で弁舌豊かなエリック・ロデズ氏の人柄を想えば、実に地味な構えである。ドメーヌの裏手には彼の得意なエノロジーを生かした、「分析所」の看板がある。
エリック氏はアンボネイのテロワールや、樽を使った醸造を語り始めると、それこそマシンガンのように止まらない。最も大きな特級村であるアンボネイ村の村長を務めるだけあって、行動派で雄弁で、そして理論家である。エリック氏はボーヌの醸造学校に学び、その後ボジョレーとローヌでエノロジストしての経験を積んだ後、実家のロデズ家を引継ぐまでの間、名門クリュッグに勤めた。本人も「素晴らしい経験だった」と語るクリュッグでの数年間はチーフ・エノロジストとして活躍した。
テロワールにあわせて改植を進めたり、リュット・レゾネを採用したりと、実に手間のかかる畑での仕事をこまめに行う一方、クリュッグ仕込みの経験を生かしたアッサンブラージュと樽使いにも一家言ある。ドメーヌならではの丁寧な畑の手入れで仕上がった葡萄は古い小樽を中心に新樽、大樽、ステンレスタンクなども組合わせて醸される。そして出来上がったベースワインはエリック氏によるアッサンブラージュの妙技を経て、複雑深遠なる一瓶に集約される。