カンパーニア州アヴェッリーノ県ラピオ、19世紀から葡萄栽培を営んできたロマーノ家。イルピニアの多く生産者がそうであったように、同家もマストロベラルディーノに葡萄を販売する栽培農家だった。醸造コンサルタントとしても著名なルイジ・モイオ氏が教授を務めるナポリ大学農学部とアッヴェリーノ県立農林研究所からの依頼を受けて、共同プロジェクトとして、“ロマーノ・ニコラ”はワイナリーとして、1985年に設立された。イルピニアの新しい時代を牽引する役目を担ったニコラのファースト・ヴィンテージは、1988年のフィアーノ。
畑の標高は550~600m。夏は日中35~37℃、夜間は15℃と寒暖の差が激しい内陸性気候。土壌は石灰と小石を含む火山性粘土質。ほど近いヴェスビオ火山から、時に灰も降ってくる。“アリアニエッロ”と呼ばれる風が終始吹き、表皮の薄いアリアニコにとって、湿気が残らないこのアッヴェリーノの気候は最も適している。畑は3カ所に点在しており、全部で4ha. 南西向き、東向き、西向きとヴィンテージの差を吸収しバランスをとれる。
「アヴェッリーノの大地が育む葡萄本来の力を体現したい」と語るロマーノ氏。
仕立てにもワイヤーなど用いず、柳やエニシダのやわらかい枝など土に返るもののみを使い、徹底した有機農法を実施。アヴェッリーノのテロワールと、氏の情熱が香り高く上品な果実味、しっかりしたタンニンと酸との構成力を持つ堂々として緊張感あるタウラージを造る。