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~ なぜ我々は国産ファインワインをお勧めしたいのか ~
★ファインワインへの想い
我々ヴァンパッシオンは、ファインワインの定義を「人の個性」と「テロワールの個性」が表現されたワイン、としている。
当社の主力はフランス、特にブルゴーニュとシャンパーニュが中心であるが、上記の理念に基づいて、
チリやボルドーなどにおいても、「ファインワイン」として尊重されるべきワインを取扱ってきた。
★国産にファインワインは存在するか?
行政指導の結果としての農業の中の二次加工品としてのワイン、地元観光産業用としてのお土産ワインとしての歴史が長かった国産ワインには、
「外国産ワインよりも低レベルなもの」
という先入観がつきまとうのが現実である。
しかし、今日、真のファインワインを造りえる志をもつ生産者が現出しつつある。
<栽培>
例えば、日本の栽培技術については、自然と共生したナチュラルで哲学に富む栽培が近年世界中で
もてはやされているが、これこそ真に日本のお家芸である。
自然派で知られるアヴィズ村のアンセルム・セロス氏が四国の農業の方に師事し、その大いなる影響を受けているのはよく知られた事である。
例えば盆栽などの奥深い文化を見れば、農業技術とその哲学は、ワインの本場フランスよりも優れていると言っても過言ではない。
<醸造>
又、日本の醸造を見た場合、確かにワイン醸造の面では、千年の歴史を持つフランスなどの、専門家や技術者の指導をお願いすることが多い。
一方、日本はそこら中発酵食品だらけの国であり、また日本酒や焼酎の蔵における酵母技術など、本場フランスを凌駕するものがある。
<哲学>
日本人の最大の特徴。
これは海外生活をしていると切に感じることだが、日本人には、「仕事を聖なるもの」として情熱を燃やすという特質・美点がある。
いわゆる、職人魂、こだわりの哲学である。
このような偉大なポテンシャルをもつ日本には必ず“ファインワイン”が存在すると、我々は確信する。
<海外に追随するのではなく・・・日本らしい文化とは?>
★ 日本らしさとは?
ある日本酒の名杜氏がおっしゃっていた言葉。
「私が造りたい日本酒は、日本の春の情景のような日本酒である」
日本人ならば、「日本の春の情景」とは、色は白でもピンクでもなく、気温が冷たい感じでもなく暑い感じでもなく、香りはほのかにあるがきついものでもない、といった「究極の中庸」を思い起こされると思う。
また日本人の個性をみると、欧米人のように激しく主張はしないが、しっかりとした哲学と奥深い思想を持ち、相手を傷つけたりしないために柔らかい物言いをする。
これもまさに「中庸」であり、「和」である。
大陸文化は広大な土地に大きな建造物を作る文化であると言われる。言い換えると、広い空間に巨大な何かを作る文化である。
日本の場合、狭い国土に多くの人口がひしめき合っている。
例えば、京都の竜安寺に代表されるような石庭は、狭い箱庭にいくつかの文化的な措置を施して、頭の中=イマジネーションの中に大海などをイメージさせてくれる。
つまり狭い空間にいくつかのモノを置くことによって、空間を立体的に際立たせる文化である。
これは、西洋料理のソースの文化と、日本のダシ文化の違いとも言えると思う。
高い文化とは、洗練、緻密、そしてモノがあるよりも頭の中に沸いてくるもの。
そして、そもそも我々日本人は欧米人のようにがっちりと大柄で筋肉質ではない。
中肉中背のバランスのとれた「中庸」であり、「和」である。
申し上げたいのは、日本らしい文化を持つワインとは、激しく主張する味わいを持つということではなく、究極の中庸を持つものであるということであり、日本の春の情景のようなワインではないかという事だ。
物理的な味わいの幅そのものは確かに狭く、欧米産のそれに比べて大柄でパワフルではない。
しかし、その狭い範囲の中に、幾重もの味わいが絹糸のように折り重なった精緻を持つ繊細な味わい。
ワインそのものが激しく主張するのではなく、そのワインがあることによってその空間やお料理が何倍もの存在感を持つような味わいこそが、正に日本人と日本の文化を表す価値観ではないかと考える。
甲州種はアルコールも低く、味わいの幅そのものは前述の通り狭い範囲に留まるが、上記のような美的価値観から考えれば、正に日本文化を体現している。
和食あるいはフランス料理でも繊細なもの、そういったお料理と共にあって、料理も含めた全ての空間を際立たせるような存在、それが甲州であり、日本文化の精緻であるというのが我々の考えである。
そして日本人の美食家として甲州種の最も注目すべき点は「醤油、および、わさびにもっとも合う品種」である点だと考えている。
★ 海外に追随するのではなく、日本らしさを追及する “オンリーワン”という存在としての、日本のファインワイン
故・麻井宇介先生の遺作にも多く言及されている事であるが、“テロワール”とは社会学的なものであり、その普遍的価値を創造するのは、
「その土地にあって、その土地を奥底から愛する造り手の熱い情熱であり、その哲学である」
と我々ヴァンパッシオンも考える。
今そんな造り手が日本中に多く息づきはじめている。
日本人による、日本の土地における、日本文化を反映した、日本を代表するワイン。
我々は「日本人の、ワインマーチャント」という立場から、これら新しい潮流を応援していきたいと考えている。
★ 日本のワイン業界の皆様と共に・・・
ブルゴーニュですら、テロワールの普遍的な価値を確立するまで1000年の歳月を要しました。
日本に真のファインワインが確立するには長い年月がとされると思います。
皆様のご意見を賜りながら、世界に誇れる日本のワインを育成してゆけたらと切に願っております。
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