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ワイン屋としては少々暗い話題かも知れませんが、先日同期生のお母様のお通夜に行ってきました。
棺の中のお顔を見せて頂いたのですが、まだ50歳そこそこの若いお母様でした。
まだ生きていて今にも動きだされるかのような、美しいお顔をされていました。
現代では核家族化も進み、またお葬式もシステマティックになっていますから、人の死を皮膚で感じる機会が減っていると思います。
それでも僕も36年の人生の中で、幾つかの身近な死を経験しました。
ブルゴーニュのある造り手さん夫妻に、息子さんが交通事故でなくなった1週間後にお会いした事があります。
彼らの全身からは、深い悲しみと痛恨の念があふれ出ていました。
「それでも僕は畑を耕すしかないんだ」と自分に言い聞かせるように語った彼の言葉は、僕に強烈なインパクトを残しました。
実際に彼らは黙々と畑を耕し続けておられました。
一方、そんな純粋な深い悲しみ、理不尽で不条理に満ちた運命に対する悔しさも、実は時間が解決することも知りました。
「人は簡単に死ぬものなんだなぁ」とも実感しました。
死を意識するほどに、生きる意味も考えるようになりました。
そんな経験をする中で、僕は
「明日死んでも悔いがないように生きよう」
と思って生きてきました。
新入社員の頃からほとんど休みもなく始発から終電まで働き続けたのは、ワインを心から好きだった一方、やはりそういった考えが根底にあったと思います。
悔いのない生き方とは、心が動く=感動する一日を送ること、そして自分にできる精一杯の努力や誠意を尽くすこと、かと思います。
一方最近、ご遺族の方の気持ちが少しは分かるようになってきたからか、新たに思うのは「明日死んでも良いという生き方は、依存=甘えに満ちた身勝手なものだ」という事です。
最近は
「人は明日死ぬかも知れない存在であるという認識を持って、日々を生きよう」
と考えるようになりました。
僕達は「僕達の生」としてワインの世界を選びましたが、スタッフ、お客様、生産者、関係者の方々に対して、「お互い明日死ぬかも知れない脆弱な存在」である者同士、今日の出会いやご縁に感謝し、日々一期一会のつもりで、全身全霊で、誠実にお付き合いをしたいと、深く感じました。
人の死を感じ、そして生を考えた一日でした。
合掌。
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