以前、ある本で読んだのですが。

青虫が成虫になって空に羽ばたく前に、みのむし（さなぎ）になる種があります。

僕は「当然、さなぎの中では、青虫に羽が生えたり、触覚が生えたりしているのだろう」と思っていました。

ところが。。。

さなぎの中では、青虫はいったん自分の姿をリセットして、どろどろの液体になっているのだそうです。

そして、空に羽ばたくことのできる強い体を、もう一度、作り直しているのだそうです。

昔読んだ本ですから、あまり定かではないのですが、確かそのような話であり、非常に驚きと感銘を受けた記憶がありました。

今、僕達ヴァンパッシオンは、素晴らしい生産者を得て、私事ながら、「日本一のファインワインインポーターの一角」に名乗りを上げることができたのではないかと考えております。

また、業界の皆様からは、沢山の「おめでとう」というお言葉をかけて頂いております。

しかし、良いワインを造ってくれるのは生産者であり、僕らは、単に「託して頂いただけ」に過ぎません。
僕らは何一つできてはいないのです。

これら、素晴らしい生産者を得て、何をしてゆけるのか。

具体的には、僕達の理念である、

「ワインで人を幸せにしたい」

「ワインの幸せを広げたい」

を実現してゆけるのか？

これが、僕達の力であり、存在意義になってくると考えております。

冒頭に「さなぎ」の話を書きましたが、

僕達は、今までの僕達の延長線の中での発展を考えるのではなく、

まるで「さなぎ」のように、僕達自身を一度根底からぶち壊し、

勇気をもってゼロの「どろどろの液体」となって、

空に羽ばたくことのできる強い体を構築しなくてはなりません。

世界的に著名な生産者達に、大切なワインを託して頂いた僥倖をかみしめ、

ここまでお世話になってきた方々の有難いご恩やご指導を忘れることなく、

もう一度ゼロの僕達に戻って、一つずつ、正しい形を作り直してゆきたい、

そう考えております。